Q:デスビを外した為、点火時期を調整しなければなりません。
タイミングライト無しで簡単に調整する方法はありませんでしょうか?
Answer by N事務局長
タイミングライト無しで点火時期を調整するのはボクの得意分野ですヨ!
1. まず、1番ピストンを点火上死点にもってきます。
2. クランクの先端のナットにスパナを掛けて、エンジンが回転するのと
反対方向(前から見て半時計回り)に少し(5度から10度)ぐらい回すと、
点火時期を示すタイミングマークがフライホイール上かクランクプーリー上に
見えてきます。要するに、上死点よりもほんの少し前(数万分の一秒だけど)
に点火するから(これを進角という)、エンジンを反対方向にすこーしだけ
戻して、今まさに点火した!という位置にクランク(ピストンも)を持っていきす。
3. この時、デスビのポイントがまさに開かん(火花を出さん)としていれば良いわけ
です。デスビを穴に突っ込んで1次側の配線(コイルと繋がっている細い線)だけ
おこない、キャップは外しておきます。そしてイグニッションをオンにします。
4. ポイントを凝視しながら(少し暗くしてやると見やすい)デスビを回していって、
ポイントにパチッと小さく火花が飛んだ瞬間にデスビの回転を止めます。
あくまでデスビはゆーーーーーくり回すこと。
5. もうちょっと確実な方法。ポイントを跨ぐように豆球(当然12ボルト)を繋ぎま
す。片側はコイルから来ている1次側の線、もう片側はアースです。そして、同じようにゆっくりデスビを回します。ポイントのギャップが閉じているときは豆球が消えていますが、ポイントが開いた瞬間(=火花を発生させた瞬間)に豆球が点灯します。ここでデスビを固定します。
6. 以上で点火タイミングは2から3度の誤差で合っているはず。エンジンを掛けて
みて。もし掛からなかったら、デスビのローターの位置を確認してください。
1番ピストンが点火上死点(のほんの直前)のときにローターが1番方向を向いて
ちゃんと火花を1番のプラグに送っていますか?2番や3番や4番に送っていても
意味が無いよ。
7. さて、しっかり点火タイミングをタイミングライトでとりたいなら、住吉の工具屋さん「ストレート神戸店」で安く売っています。
補足 by N事務局長
まずは点火系のおさらいを・・・・・ イグニッションスイッチ〜コイル〜デスビまでの配線図を良く見てください。
バッテリーからイグニッションスイッチを経由した電流は、コイルの1次側を 経由してデスビに行きます。デスビ内部で電気は二つに分かれて、ひとつは
コンデンサーを経てアースへ、もうひとつはポイントを経てアースに行きます。
さて、ポイントが閉じた時、バッテリーからアースまで連続した回路ができますので 12ボルトの電気が流れます。その経路は:
<バッテリー〜IGNスイッチ〜コイル一次側〜閉じたポイントのギャップ〜アース> このとき電気はコイルの一次側の磁界発生に使用されます。ポイントが閉じている
あいだは、この磁界が大きくなっていきます。磁界は大きいほど良いです。
次にポイントが開きますと:
実際にポイントを流れていた電流が一瞬にして遮断されます。この様子はポイントの スパークで確認できます。このとき、コイルの1次側に発生していた磁界が消滅します。
その際に、1次側では200〜300ボルトの電圧が生じます。 この時にコンデンサーも重要な役割をします。ポイントが開くと、コンデンサーに蓄電
されていた電気がコイル(1次側)に逆流して、磁界の消滅を促進します。 この磁界の消滅が早いほど、1次側の200ボルトの電圧から誘導される2次側の
電圧が高くなります。25000〜30000ボルト、スポーツコイルでは40000ボ ルトに 達するものもあります。 この高電圧は、コイルの中心からデスビキャップの中心に送られ、カーボン接点を
経由してローターの中心へ、そして点火が必要なプラグへと送られます。20000ボル ト 以上の高電圧は、プラグのギャップにスパークを飛ばすのに十分、これで気化した
ガソリンに点火するわけです。
上記のサイクルを繰り返し、各プラグに順に火花を発生させます。
さて、豆球による点火タイミングですが、豆球の一方はアースに、もう一方はポイントの 接点のコイル側に接続します。要するにポイントを跨ぐように繋ぐわけです。
さて、電気は抵抗の少ないところを通ろうとしますので、ポイントが閉じている時はそこ を 通りますので、豆球は点灯しません。ところがポイントが開くと、バッテリーの電気は
行き場を豆球回路に求めますので、豆球が点灯します。つまり、ポイントが開くと豆球が 点灯するわけです。これでポイントが開く位置(=プラグに点火する位置)が分かりま
す。